New Shortcake Collage Tape: Spirited Summer
ヴェイパーウェイヴは(かつては?)インターネットを通して普及したジャンルで、こんな楽しい記事がありますので良かったらご覧下さい…Accelerationists! Trash music! Capitalism!みたいな…でも実際にヴェイパーウェイヴがどんな音楽なのかはややこしいですよね。たとえ結論が出たとしても、また「あれっ?」ってなりそう。私が思うヴェイパーウェイヴとは古くさい日本のコマーシャルとか企業ビデオとかをサンプリングした音楽で…楽曲自体はあまり良くない物が多いように感じます。そのコマーシャルとかのボーカルを少し歪ませたりして…こんな感じのを。この手法からは良い音楽も生み出されていますが、その反面に駄作が多いのも事実です。 東京のShortcake Collage Tapeはそんなヴェイパーウェイヴに近い音楽をやっていましたが、初のフルレングスSpirited Summerではそんな手法からは少し離れていて…というよりは単純にサンプリングを上手く使った完成度の高い作品になっています。例えば“Meet Me In Your Dreams”では昨夏YouTubeでよく観るハメになったあのコマーシャルをネタにしていて(あの広告に嫌な思いでがあっても今となっては面白く聴こえるはず)、他の曲でもコマーシャルやアニメのサンプルが曲自体を殺す事なく、上手く新しさを生み出しています。Shortcakeのベストトラックはやっぱり“Polaroid Full Of Kisses”で、ぼんやりとした記憶をさまよっていると曲の後半ではアニメのサンプルが。タイトルが示唆する通りこのSpirited Summerは暖かい季節の思い出への執着心から生み出されていて、“Summer School”や“Waiting In The Afterlife”なんかでは彼自身が“is ideal for midsummer chillouts”と説明する通り、日差しの強い日々を淡く表現しています。が、もう過ぎ去ったチルアウトみたいな感じも。最も夏っぽい“Empire Beach”と“Painted Ocean”ではシンセとホーンのサンプルが海岸を連想させます。重要なのはビートがしっかりと曲を進めて行くという点。Spirited Summerは単にノスタルジックな気分を表現しているだけでなく、サンプルを見せつけるだけでもなく、しっかりと音楽を通して感情が表現されています。2013年に入ってから初の傑作と感じています(もう2週間目に突入してしまいましたね…早い早い…)。無料ダウンロードはこちらから。