Music

  • Stuff We Missed 2012: stillsound

    stillsoundは名前からも分かる通り、Toro Y Moiからの影響を隠そうともしてません。SoundCloudのプロフィールにもChaz Bundickは彼の”bro”だと書かれています…Jamesという17歳の高校生によるプロジェクトで、沖縄の那覇に住んでいるそう。不思議に思ったのでSoundCloudでメッセージを送ったら、「もう少し北のほうかな」と言ってたのですが…はたして本当に住んでいるのかは謎です。他のvaporwaveアーティストみたいに、日本を拠点にしてるフリをしてるのかもしれないですね。彼いわく、もともとはカリフォルニア出身で、現在は沖縄で勉強と音楽活動をしているそう。音楽的には「10年もクラシック・ピアノを習ってたから音楽理論は得意」と教えてくれたり、他には「猫が好き。ソバも好きで、特に沖縄ソバのスープと豚肉が好き」と教えてくれました。そしてもちろん、Toro Y Moiがお気に入りみたいです。 彼の初期の音源は特にサウス・カロライナ出身のそのアーティストから影響を受けていて、”Shine”や”With Me”の太いキーボードの音色やボーカルサンプルなんかはToro Y Moiのアルバム、”Causers Of This”を彷彿とさせます。まだ17歳との事なので、このような直球に影響を出した曲も仕方が無いでしょう。でも注目すべきは彼の個性を発揮した新しいトラックです。”Foot Stepps”ではToro Y Moiからの影響を取り入れつつも(特に”You Hid”)、よりミニマルに、かつスペースを意識した作りになっています。”Cool Tears”はよりスローで空気感を意識した作りに。もうちょっと速いけど”Reminds Me Of You”もオススメです。stllsoundはまだ17歳、しかも10年間のピアノ経験が。彼はこれからも注目していくべき若き才能と言えるでしょう。

  • Holding Together: Broken Haze’s “Air Castles”

    浜崎あゆみの新アルバムには”Melody”の変わったリミックスが収録されています。彼女の声を加工したり、様々な方向にビートがちりばめられていたり、こんな曲が収録されるのはかなり稀な事ではないでしょうか。”ポスト・ダブステップ”と呼ぶにふさわしいこの作品を手がけたのは東京のプロデューサーBroken Haze。この浜崎あゆみのリミックスが気に入った方は彼自身のEP”Lightning Flash”も気に入ると思います。この新作からの”Air Castles”という曲は巧みなボーカル・サンプル使いや華やかなキーボードが特徴的な、キャッチーなダンス・ナンバーになってます。EPを通して聴く事をオススメしますが、部分的に試聴したい方は以下から。

  • New Taquwami: “All My Life”

    東京のプロデューサーTaquwamiは様々な挑戦をしてきました。激しい曲や繊細な曲、サンプル重視の曲や貝殻を耳に当てているような幻想的な曲、Occult Youの活動を除いても、彼の手がけた楽曲は大変バラエティーに富んでいます。新曲”All My Life”ではそんなTaquwamiの得意なサンプリングやエレクトロ・サウンドが輝きつつも、新たな挑戦も随所にちりばめられています。今年リリースされたBlurrywonder EPはR&BをTaquwami流のシンセの渦に巻き込んだようなサウンドだったのですが、今回の”All My Life”はより正統派なR&Bに。曲の前半を埋め尽くしているミニマルなビートはまるでUsherの”Climax”のよう。空気感に影響されてなのか、ボーカルサンプルはいつもよりもつぶやきがちで暗い印象に聴こえてきます。後半ではいつものスタイルが展開されていくのですが、”All My Life”はTaquwamiの新たな一面を確かに確認できる曲になっています。試聴はこちらから。

  • New mus.hiba: “Slow Snow”

    私たちがmus.hibaに興味を持ったきっかけは彼の”Magical Fizzy Drink“というトラック。ボーカロイドという、キャラクターをシンセサイザーのように操り歌わせるプログラムを曲に使ったのが実験的かつ印象的でした。彼は雪歌ユフというボーカロイドを使っているのですが、ありのままでは不可能な、個性的な使い方が面白いです。”Slow Snow”という新曲にもまた細部に至るまでこだわりが。”Magical Fizzy Drink”では様々な音色が左右に飛び交い、暗くも暖かい雰囲気を演出していたのですが、”Slow Snow”ではそのような物は逆に陰に潜み、キラキラしたシンセが前へと出てきています。メインの音色は瞬間的なピッチ・ベンドによる、まるで波紋のようなエフェクトが掛かっていて、輝かしい世界から一瞬現実に取り戻されるような、一筋縄ではいかない工夫が施されています。雪歌ユフの声も凍えるような寒さの中マフラーを介して歌っているような、少し冷たく、くもっているような印象。途中でピッチが変わり、曲の流れを上手く展開させていく手助けをしたりも。この組み合わせが不思議と不気味さを演出しています。試聴は以下から。 引き続き「雪」というテーマを追求しているmus.hibaは、Singing In The Snowという、雪歌ユフをフィーチャーした冬/クリスマスがテーマのコンピレーションアルバムにて更なる新曲を発表するみたいです。”hidamari”という曲で、一部分だけ試聴できますが、フルで発表されるのを楽しみに待つのも良いかもしれませんね。ここで情報を読む事ができますよ。

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    INNIT Posts New Mix Featuring Matthewdavid, And Vice Versa, Avec Avec, Magical Mistakes And A Whole Bunch More

    大阪のダンスミュージックイベントINNITは開催ごとに出演アーティストのコンピを発表しています。アーティスト同士のコラボ作品など、今回の内容からは前回と少し違った個性が見られますが、12月16日のイベントにも出演する常連のMatthewdavidとAnenonは今回も参加しています。でもコラボも常に上手くいく訳ではなく…SeihoとLUVRAW & BTBの “Lady Are You Ready”なんかでは、ボコーダーの効いた多すぎるボーカルが、ボーカルサンプルだけでも高い完成度のトラックを作る事のできるSeihoの個性と衝突してしまっている気がします。他のトラックに関して言えば、いい仕上がりになっていると言えるでしょう。EadonmmとAstraltable、そしてMagical Mistakesとdoopiioのコラボではお互いの個性が上手く調和していて、納得のいく、ユニークなトラックに仕上がっています。Avec AvecのビビッドなシンセがMadeggの風変わりなビート感と見事にマッチしていますし、最後のAnd Vice VersaとNacoの曲は触ってしまいたくなるほど質感があり、本当に素晴らしいですので是非お聴き下さい。試聴は以下から。