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Category Archives: Music @ja

New Seiho: “I Feel Rave”

いわゆる”レイブ”という所には行った事がないので、もし誤解を招くような発言があったら申し訳ないです。イメージしているのは、日常から解き放たれ、そのトランス状態を楽しむ為のイベント。大阪のSeihoの新曲、”I Feel Rave”も、そのイメージに近いです。軽快なビートの上で、様々なトーンを行き来する複雑に調律されたボーカルが、繰り返し”I feel you”と歌い、リスナーを幻想の世界へと呼び込みます。この曲はSeihoを次のリリースへと繋げる堅固なステップと言えるでしょう。

レイブと聞いて他に思い浮かぶのは…偏見かもしれませんが、ドラッグです。Seihoは幻覚を思わせるような工夫を曲に入れていて、後半の水滴が落ちるような音の後、ボーカルは更にめちゃくちゃになっていきます。終盤にこういった工夫もいれる事で、曲のユニークさが際立っています。視聴は以下から。

Out Of Dots Release Compilation Featuring Seiho, Madegg, Submerse And Many More

次の月曜日、渋谷のWombでOut Of Dotsというイベントが開催されます。三回建てのクラブを埋め尽くすべく、近未来的なサウンドを放つ多くのエレクトロ・アーティストが参加予定です。参加アーティスト達のコンピレーションもアップされているのですが、なんせ26曲もあり、全て聴くのは凄く時間が必要。もし週末お時間のある方は、是非聴いてみてほしいです。忙しい方には16曲以降を聴く事をオススメします。Maltine RecordsのSilvanian Familiesによる”Families Walks”はとても爽やかで、Seihoの新曲、”Blue Elegant”がそれに続きます。ここでFazerockのミニマルなポスト・ダブステップが流れ、Submerse、Madeggと続きます。でも勿論他にもハイライトがあって、例えばDub-Russelの”Nagwares 2 Me”なんかは彼等らしい飛び跳ねるサウンドになっていて、Fugenn & The White Elephantsの”Thunder”も、それを追いかけるような速いペースで進みます。追加で少しハイライトさせて頂くと、Acerola Beach、Himuro YoshiteruとQuarta 330がオススメ。視聴はこちらから

Young Drops: Inorg, Miii, Fazerock And A Peek Into Japan’s Brostep Scene

ブロステップ、そしてもっと広い定義で言うとダブステップは、アメリカを含む多くの国でメインストリームになってきています。SPINやRolling Stoneといった雑誌では、このダンスミュージックにおける新たな流れについて多く取り上げています。また、The Electric Daisy Carnival のようなフェスも、膨大な動員数を誇っています。デッドマウスやスクリレックス、そしてベースネクター等、多くのダブステップアーティストがトップクラスのアクトになってきていて、好きでも嫌いでも、今最も注目すべきムーブメントだというのは認めざるを得ないでしょう。

日本でも最近になってシーンが出来てきたみたいです。Inorgの”Sleep”なんかがスクリレックスのようなブロステップの日本人的解釈と言えるのではないでしょうか。曲はロックファンならおなじみの、レディオヘッドの”Fitter Happier”からのサンプルで始まります。明確な芯がありつつも、いわゆる”ダブステップ”とは違い、ソフトな空気感を持っていて、ドロップが来ても柔らかいので、ジャンルの持つ偏見みたいな物を取っ払うような斬新サウンドになっています。

色々なエレクトロ・ジャンルで実験をする東京のMiiiは、最近のリリース、”Tokyo War Trap”で、ブロステップに挑戦しています。でも面白いひねりが加えられていて、例えばタイトル・トラックでは、ブロステップと同じくらいレゲエからの影響が感じられます。”Heat Off The Floor”は、Zombyとかがやりそうな、ダブステップ愛を避けるようなトラック。でも”Anti Virus Anti”なんかが特にそうなのですが、低音重視の流れを意識しているのは明確です。ダウンロードはこちらから、視聴は以下から。

もし強烈なのが聴きたいのであれば、Fazerockの”Attempted Suicide”というEPを紹介します。顔面をぶん殴るような力強いドロップと、面と向かって怒鳴ってくるようなラップがフィーチャーされています。気になる方は是非お聴きあれ

Taquwami Teams Up With Ruddyp: “Hold”

東京のプロデューサーTaquwamiは、ネットのシーンに属している、と先月話してくれました。「僕自身は東京、というか特定の地域のシーンとは繋がってないんじゃないでしょうか。どちらかと言うと地域関係なくインターネット上でって感じじゃないかなーと。なんていうかChillwaveよりはBeat重視でWitch House/Trap/Hiphop全部突っ込んだみたいななんともいえないくくりのelectronic musicがインターネットであるじゃないですか。」Taquwamiが今までコラボレートしてきたアーティスト達も、彼同様の環境で音楽を配信しています。たとえ違う国に住んでいても、そこで交流し、繋がれるのが最高の利点。最近ではヴァージニア州を拠点としているRuddypと共同で”Hold”をリリースしています。Blurrywonderで聴けるようなドラムパターンやボーカルが使われているものの、”Hold” はそのEPよりも極めてゆったりとしたペースで進みます。以前もそのようなテンポの曲はありましたが、Ruddypのテイストが加わる事により、Taquwamiの楽曲とはまた違った面白さが引き出されています。視聴は以下から。

Glossy Getaway: OKLobby

東京のプロデューサーOKLobbyの作品にはよく、”リゾート”っていうキーワードがでてきますね。かれのデビューEPのタイトルも”Resortworks“でしたし、収録曲からは”Mind Resort Scidaria”というタイトルも見受けられます。バンド名に含まれる”Lobby”という単語は、2012頃から存在したシティ・ポップやvaporwaveを連想させますが、どうやら違う模様。むしろ、同じ東京のプロデューサーTaquwamiがここ最近手がけている音に近く、Resortworksの三曲からは猛烈な打ち込みドラムと切り刻まれたボーカルのサンプルが聴こえます。TaquwamiのBlurrywonderは、不鮮明でもやもやしたサウンドが渦巻き、それが作品の魅力なのですが、OKLobbyはというと、もっと鮮明で、クリアなサウンドが印象的です。”Mind Resort Scidaria”なんかでは子供達の声や、アラビア風の歌唱みたいなものが、シンセサイザーの土台の上で歌っています。”Fireworks”ではエフェクトがかけられたボーカルがフィーチャーされているものの、複雑になっていく曲の後半までは、とても鮮麗されています。

上で紹介した曲以外にも”Life Is A Short Life” という曲があって、これはまだ数少ないリリースの中でも最高にチルド・アウトしています。視聴は以下から。