Jolie Joli: “Dreaming Girl”

日本のインディー・ポップ界は今年も素晴らしい曲を多く生み出しているのは確かですが、男性アーティストが大半を占めているというのが気がかりです。女性メンバーのいるバンドも多いのですが、彼女達は中心的な存在とは言いがたいでしょう。大阪のTwinkle Twinklesを除けば、女性のみのバンドというのもレアでしょう。私の記憶が正しければ、数ヶ月前にリリースされたC86のテープでさえ、多くの新しいアーティストをフィーチャーしていたのにも関わらず、女性メンバーのいるバンドはSlow Maricoのみでした。いったいPuffyshoesは何処へ行ってしまったのか?

でも最近結成したJolie Joliはtwee的な可愛げのあるインディー・ポップを奏でています。現在女性二人でドラマーを探しているみたいなのですが、タイガー・トラップ、ヘブンリーやカブといった90年初期の北米インディー・ポップ、それも女性メンバーのみのグループから濃く影響を受けています。Jolie Joliはまだ持ち曲が少ないものの、”Dreaming Girl”を聞くと、秘められた大きな可能性を感じます。シンプルな曲は明るく楽しいギターやドラムをフィーチャーし、その上で遊ぶボーカルとコーラスがとても可愛らしく、このような女性メインのバンドが増えるといいな、と思わされます。視聴は以下から。

Similar Posts

  • |

    Bunch Of Artists (Picnic Women, PARKGOLF, Osamu Ansai, Avec Avec) Remix Tofubeat’s Music

    Do you feel that, hanging in the air? As chilly autumn winds start blowing in, so does the specter of year-end lists. Tofubeat’s first full-length album Lost Decade is a lock to land somewhere on Make Believe Melodies’ top albums list, and if you haven’t bought a copy yet, get on that. Maltine Records, who…

  • New Eadonmm: “Alder”

    INNITやIdleMoments等のイベントが象徴しているように、大阪のビート・シーンは非常に大盛況。Magical Mistakesの渦巻くようなサウンドや、Seihoの実験的なビートは、とてもユニークなのと同時にグルーブ感もあります。でも、”Alder”はそのような曲がブラックホールに吸い込まれたかのような印象。IdleMomentsをオーガナイズするEadonmmによるこのトラックは、極めてテンポを抑えた、スローな楽曲。ゆったりと始まり、アンビエントな空気感を堪能しているその時に、ピークを迎えます。シンセサイザーによる壁のようなレイヤーが左右にパンし、異なるテンポのボーカルが、それぞれ違うピッチで奇妙なデュエットを奏でます。ダンスフロアには不向きかもしれませんが、それ以上に、独特な音世界を堪能する事が可能。試聴は以下から。

  • New HNC: “I Will Make You Sad”

    HNCは長く奇妙な道のりを辿ってきています。彼女のHazel Nuts Chocolateとしての活動は2000年に始まり、Plus-Tech Squeeze Boxや、中田ヤスタカのプロジェクト、Capsuleの作品にも参加してきました。ダンスビート重視というよりは渋谷系みたいな。彼女の初期の作品やコラボレーションは、可愛らしくアップテッンポでエネルギーに満ちていて、2009までの作品にはそのような空気感を特に聴く事ができます。”Cult”では今までのキュートさはそのままに、ドラムンベースからの影響も。その後彼女はしばらく活動をストップし、(Love And Hatesへの参加以外)一年程経って”I Dream I Dead“をリリースしました。楽しくポップなHazel Nuts Chocolateは姿を消し、パラノイアや不安を表現しているような作品です。キャンディーや猫について歌っていた長い年月が一晩の悪夢によって吸い込まれたかのような印象。この曲は音楽的にとても深く、今までの彼女の最高傑作と言えるでしょう。 新曲 “I Will Make You Sad”も過去のHNCから再び一歩離れているのですが、オープニングに重いドラムや寂しげなピアノが使われていて、”I Dream I Dead”よりも更に希薄な印象です。その後増えるシンセも曲を独占するわけでなく、全体の脆く儚いイメージを崩しません。曲に入ってきた直後の彼女の曲はミックスの奥深くにあり、前へは出てこないものの、”drinking your tears”というような言葉は聴こえてきます。コーラスでは曲のタイトルを繰り返してるのがはっきり聴こえますよ。HNCのキャリアは長い間その瞬間の感情の表現、”猫の可愛らしさ”であったりしたわけですが、”I Will Make You Sad”が意味しているように、今の彼女はより複雑な感情を表現を可能にしています。HNCのアーティストとしての大きな前進を是非堪能して下さい。試聴は以下から。

  • Homemade Escape: i-fls

    最近ツイッターで村上春樹についての会話をよく目にします。激しい議論の中、支持する人は彼の表現する「美しい日常」を絶賛しているようですね。確かに村上春樹特有の、ありふれた日常をいかに美しいものにするか、という表現は素晴らしいと思います。私もそのような感性は好きですし、日本のアーティストのi-flsも普通だったら忘れ去られるようなテーマを音楽を通して表現しています。物やサービスがテーマだったり(“Twitter,” “Vocaloid,” “Family Restaurant”)自然がテーマだったり(“Summer Breeze,” “I Saw Raindrops”) 女性の名前が含まれていたり(“Satomi,” “Chiaki Gazed You,” “Yui”)。Garagebandで作られたボーカルレスな楽曲達は、驚く程少ない数の楽器から構成されていて、短くもノスタルジック。まるで気持ちをスケッチしたかのような。i-flsはここ数ヶ月だけでも数多くのリリースをしているのですが、Enhanced GardenというEPに収録されている、飛び跳ねるような”No Adventure”、幻想的な”Stardust”、そしてまるで好きな女性が自分を見つめているような気持ちにさせてくれる”Chiaki Gazed You”がオススメです。”Chiaki Gazed You”は嬉しくも不安なあの気持ちを上手く表現できているのではないでしょうか。i-flsの楽曲はまるで日記のようにシンプルで、日常を美しいものとして表現しています。

  • |

    Bright Lights: L.E.D.’s “Kara Mizu Ni Naru” Featuring Salyu

    J-Pop singer Salyu deserves two superlatives: 1. Best voice in J-Pop today 2. Most misused voice in J-Pop today Salyu’s voice is a thing of wonder, part Bjork-ish while also being able to hit high notes a bit better. Yet for the majority of her career, she’s been saddled with songs meant for traditional J-Pop…

  • Teen Runnings Team Up With Sea Lions For A Split Release, Share “We’ll Never Stay Together”

    Teen Runningsが何とカリフォルニアのインディーポップバンドのSea Lionsとスプリット作品”Home Recordings”をリリースするみたいです。彼等を”purveyors of indie and bedroom pop”(インディーとベッド・ルームポップの供給者)と紹介するNeotomic Records!がこの”Home Recordings”を限定版のカセットとしてリリースするとの事。Teen RunningsはMaroon 5の”Won’t Go Home Without You”のカバーや、ネットに出回ってたりする過去2年のデモ・トラック等を収録する模様。今は”We’ll Never Stay Together” が聴けるようになっていて、これはTeen Runningsの長所だけを強調した名曲です。さびれたボーカルをフィーチャーした爽やかなサーフ・ロックで、全てはフィードバックで崩されています。試聴はこちらから。

Jolie Joli: “Dreaming Girl”

This year has seen a lot of really good Japanese indie-pop music spring up, but this scene has also been a bit male-centric. Some bands to pop up in 2012 feature women playing in the band, but they are rarely at the forefront of the group and, save for Osaka’s Twinkle Twinkles and (if you like your indie-pop darker) Tokyo’s She Talks Silence, not many have appeared over the last few months featuring just women. Just look the C86 tape released a few months back, a compilation serving as an introduction to this new wave of bands in Japan. It features no women singing vocals, and to my knowledge the only group with a woman present is Slow Marico. Where did you go, Puffyshoes?

Jolie Joli, a recently formed group out of Tokyo, adds some fresh air to the twee scene. It’s an all-woman duo making cheery indie-pop that takes cues from the all-woman groups that filled the North American indie-pop scene in the early 1990’s (Tiger Trap, Heavenly, Cub). They don’t have many songs, but their “Dreaming Girl” shows a lot of potential. It’s simple – guitar and drum, gleefully straightforward at that – but also sweet, thanks to the vocals – especially at the chorus. Here’s hoping they keep it up, and others follow suit. Listen below.

Similar Posts