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Category Archives: Music @ja

Plasticzooms Introduce New Project, Die Kusse

By Daisuke Kikuchi

ファッションと音楽は常にリンクしていて、数々のユニークなスタイルを築き上げてきました。スタッズだらけのライダースを着たパンクス達だって、当然その一例なのですが…彼等はそれをアンチ・ファッションと謳っていましたね。でも逆に、バンドがファッションに強いこだわりを持っていて、なおかつ自らの曲までファッションだと宣言していても、その信念は凄くパンクだなと感じます。そんなバンドがPlasticzooms、「ジャケット・パンツ・ブーツと同じ並びに僕たちの音は在る。音を服にコーディネートして欲しい。」とは、9月にリリースされた彼等の新しいプロジェクト、Die Kusse(ディーキュセ)のコンセプトからの一文。3枚のシングル”Full Moon”、”Rubbers”と”Bye. Bye.”にはそれぞれ洋服のタグが同封されていて、かれらのファッションに対する強いこだわりを象徴しています。

Plasticzoomsのダークなメイクや真っ黒なファッションからは、ザ・キュアーやスージー・アンド・ザ・バンシーズ等、ニューウェーブ/ポスト・パンク時代のバンドへの愛が感じられます。楽曲も同様で、”Full Moon”もそのような影響を基ににし、新たな挑戦を加えた傑作と言えるでしょう。キリング・ジョークがシューゲイザーに挑戦したかのような雰囲気を持つこの曲では、シャープなギターが陰のような渦巻くバックグラウンドを切り裂き、スリリングな空気感を生み出しています。様々なドラムパターンがスロー・テンポの曲に展開を加え、飽きのこない多様性のある物にしています。複雑なリズム構成のアルペジオ・パートは必聴です。でも、他の2曲は打って変わってアップテンポ。”Rubbers”はポジティブ・パンク全開なナンバーで、”Bye. Bye.”は前作”Starbow”の収録曲、”Scent”のような、疾走感のあるバラードです。”Bye. Bye.”のシングルには現代音楽家、中村益久さんによるリミックスも収録。デジタルとアコースティックが共存した壮大なサウンドは、Plasticzoomsとは異なるタッチで手がけられていますが、異なるバックグラウンドを持つアーティストとも積極的にタッグを組む、彼等の音楽性の広さを象徴しています。トレイラーは上に、購入はFile-Under Recordsから

Nice Find: Cassettevision Sampler

Bandcampから無料でダウンロードできるCassettevision Samplerは、決して音楽ブログから注目を浴びるべく作られた、レーベルのデビュー作品ではありません。レーベルは2000年からあり、「不思議な魅力や毒、ひっかかるなにかしらがある音楽を紹介。」というコンセプトで、2003年以降、数々のアルバムをリリースしています。このサンプラーはCassettevisionの歴史のような物で、過去にリリースした13曲が収録されています。

Cassettevision Samplerの大半はミニマルなエレクトロニカで、冷ややかな実験性はありつつも、暖かくポップな印象が強いです。2つの作品を同レーベルからリリースしているLemの、”Story Of Surf For Young People”で聴けるボサノバ調のサウンドからは、とても温もりが感じられます。他のトラックはというと、engの作品は、跳ねるようなチャイムのような音やノイズ等、一見形のないように思えるサウンドを、ポップソングとして見事に再構築しています。Kiwako Kanedaの曲は、インディーポップやフォークにエレクトロニカが足されたような作品。Hot Fudge Sundaeの”New Walk”はストレートにポップ、Apartmenの”Hand Me Down”は直球ガレージロックなのですが、ちょっとしたクセや工夫が足されていて、レーベルのカラーを象徴しています。Cassettevision Samplerはミニマルなエレクトロニカが多く、レーベルのイメージを知るにはもってこいの作品と言えるでしょう。

Give Me Wallets Cover Justin Bieber: “Boyfriend”

今週日本のインディー界において大きな話題だったのはジャスティン・ビーバーでしたね。大阪のCloudy Buseyが曲をカナダのポップ・スターに歌わせたいと言ったのが発端で、今度はGive Me Walletsがジャスティンのヒット曲、”Boyfriend”をカバーしたみたいです。以下から視聴できます。Give Me Walletsはジャスティン・ティンバーレイクのようなミニマリズムを取り除いて、よりコンプレックスに、より速いテンポで曲を仕上げました。ジャスティン・ビーバーみたいなハイトーンは一切目指さない独自性がこのカバーを素晴らしい物にしています。

New Shortcake Collage Tape: “✈Empire≈Beach☼”

Shortcake Collage TapeのVHSに直接録音したようなサウンドがとても好みです。新曲”✈Empire≈Beach☼” は、過去の名曲”Polaroid Full Of Kisses“にファズのようなフィルターをかけて潰したような作品です。”Empire Beach”は南国風のヴァイブを持っていて、ビーチリゾートのプロモーションで使われていそう。特に印象的な瞬間は、1分40秒くらいの時にスムーズなジャズ・サックスが流れる時で、その穏やかな瞬間にいつまでも留まりたくなります。その後、アニメか映画のサンプルが呟き始め、曲の終わりとともに消えていき、最後に沖縄と囁きます。視聴は以下から。

あと違った意味で注目すべきは、一ヶ月くらい前にリリースされた”Meet Me In Your Dreams”で、これはとても笑わせてくれます。何が面白いかというと、この夏、YouTubeで動画を再生する際に頻繁に流れた、元SDN48の芹那ちゃんが出演していたコマーシャル、芹那 ザ ジレット ジェルジニーがサンプルネタになっているからです。何はともあれ、SCTが彼女の喋りを使って面白くユニークな作品を作ったのは素晴らしい事だと思います。

New Masculin: “Manhattan Suicide”

CUZ ME PAINは最近、あまりリリースをせず、ライブやレコーディングに力を入れている感じがします。それともニコラス・ケイジ出演の映画を勉強したりしてるのかな。CUZ ME PAINのプロジェクトMasculinの新曲、”Manhattan Suicide”は、ニコラス・ケイジ主演のデビッド・リンチ映画、ワイルド・アット・ハートの台詞から始まります。2分間シンプルに淡々と流れるグルーブは、リンチ・テイストが他の曲よりは抑えめかも。ワイルド・アット・ハートからの物かは確かじゃないですが、他の台詞とピアノの流れるようなフレーズがリピートされています。そのようなサウンドが楽しい雰囲気を出していて、ツイン・ピークス的か、と言えばそうではないのですが、このような遊び心のあるリリースを聴く事で、CUZ ME PAINから更なるリリースを期待してしまいます。