New And Vice Versa: “Its Me”

大阪を拠点とするAnd Vice Versaのアルバム、”E. Tender”は4月に発表されていましたが、まだそれについて書けていませんでした。しかし聴き続ける事で、今では私の2012年度のベストアルバムの一つになりました。

And Vice Versaは単音を好むアーティストだと感じます。そして”E. Tender”で使われているノイズはまるで触る事のできるような質感を持っています。

And Vice Versaの新曲、”Its Me”は、E. Tenderには含まれていないものの、そのスタイルはとても似ています。アルバムでも使われていた素晴らしい音が多く使われていて、その特徴的なシンセや、エフェクトが加えられたボーカルは何重にも重ねられ、幻想的なレイヤーを生み出しています。更に、And Vice Versaは曲中に、見つけたら嬉しくなる、細かい工夫を多く盛り込んでいます。”Its Me”とアルバムの曲の違いと言えば長さでしょう。アルバムの曲は3分程なのに比べ、この曲は6分半近くあります。でも、この曲は一瞬たりとも興味を離さないよう、上手く工夫されています。

Similar Posts

  • Nice Find: Cassettevision Sampler

    Bandcampから無料でダウンロードできるCassettevision Samplerは、決して音楽ブログから注目を浴びるべく作られた、レーベルのデビュー作品ではありません。レーベルは2000年からあり、「不思議な魅力や毒、ひっかかるなにかしらがある音楽を紹介。」というコンセプトで、2003年以降、数々のアルバムをリリースしています。このサンプラーはCassettevisionの歴史のような物で、過去にリリースした13曲が収録されています。 Cassettevision Samplerの大半はミニマルなエレクトロニカで、冷ややかな実験性はありつつも、暖かくポップな印象が強いです。2つの作品を同レーベルからリリースしているLemの、”Story Of Surf For Young People”で聴けるボサノバ調のサウンドからは、とても温もりが感じられます。他のトラックはというと、engの作品は、跳ねるようなチャイムのような音やノイズ等、一見形のないように思えるサウンドを、ポップソングとして見事に再構築しています。Kiwako Kanedaの曲は、インディーポップやフォークにエレクトロニカが足されたような作品。Hot Fudge Sundaeの”New Walk”はストレートにポップ、Apartmenの”Hand Me Down”は直球ガレージロックなのですが、ちょっとしたクセや工夫が足されていて、レーベルのカラーを象徴しています。Cassettevision Samplerはミニマルなエレクトロニカが多く、レーベルのイメージを知るにはもってこいの作品と言えるでしょう。 cassettevision sampler by cassettevision

  • Dead Funny Records Prep New Compilation Album Featuring The Paellas, Fancy Books, Boyish And More

    The label compilation serves as a great way to broadcast a mission statement for an imprint – here are the groups support, and this is who we are. Dead Funny Records have put out some excellent materials by the likes of Osaka’s The Paella’s, Saitama’s Fancy Books and Tokyo’s Jappers, but with their first official…

  • Neon Cloud Remixes Blue Foundation’s “Describe,” We Are Mostly Pumped Neon Cloud Are Back

    Neon Cloud Neon Cloud Neon Cloud Neon Cloud! Sorry for the excitement, but this is the first new output from the mysterious Tokyo project since 2011’s excellent (and only getting better with time) Knit EP. This isn’t quite an original work, but what Neon Cloud does to Brooklyn outfit Blue Foundation’s (really good on its…

  • Taquwami Teams Up With Ruddyp: “Hold”

    東京のプロデューサーTaquwamiは、ネットのシーンに属している、と先月話してくれました。「僕自身は東京、というか特定の地域のシーンとは繋がってないんじゃないでしょうか。どちらかと言うと地域関係なくインターネット上でって感じじゃないかなーと。なんていうかChillwaveよりはBeat重視でWitch House/Trap/Hiphop全部突っ込んだみたいななんともいえないくくりのelectronic musicがインターネットであるじゃないですか。」Taquwamiが今までコラボレートしてきたアーティスト達も、彼同様の環境で音楽を配信しています。たとえ違う国に住んでいても、そこで交流し、繋がれるのが最高の利点。最近ではヴァージニア州を拠点としているRuddypと共同で”Hold”をリリースしています。Blurrywonderで聴けるようなドラムパターンやボーカルが使われているものの、”Hold” はそのEPよりも極めてゆったりとしたペースで進みます。以前もそのようなテンポの曲はありましたが、Ruddypのテイストが加わる事により、Taquwamiの楽曲とはまた違った面白さが引き出されています。視聴は以下から。

  • Electronic Compilation Round-Up: XYZ EP Featuring Mii, Carpainter And Seimei And Taimei

    日本でもネットレーベルが定着しつつありますね。今年の五月に創立したエレクトロ系レーベルのTrekkie Traxはご存知でしょうか?素晴らしいコンピをリリースしているので、是非お聴きあれ。八曲収録されたこのXYZというアルバムには日本中からアーティストが集められています。東京からはMiiiが参加していて、”Far Away (About Three Kilometers)”を提供しているのですが、これが非常に良い。Hudson-Mohawkeぽいシンセからモッシュが可能なダブステップまで広く影響を感じさせる曲は、単調になる事無く、聴く耳を離しません。XYZには他にもSeimei And Taimeiの”Drub The Floor” 、Carpainterの”Kick Back”とIsagenの”+o”がオススメです。ダウンロードはこちらから.

New And Vice Versa: “Its Me”

Somewhere high on my “list of things to blog about” is Osaka producer And Vice Versa’s album E. Tender. It has been there for a few months, actually. I can’t believe I never got around to writing about it, it came out in April and has become one of my favorite albums of the year so far. And Vice Versa is an artist in love with individual sounds, and the noises on E. Tender come through so clearly you can practically touch them. The way And Vice Versa layers his sounds is also amazing so the album is really great to listen to through headphones.

And Vice Versa’s newest song, “Its Me,” could have fit in well on E. Tender. It shares many of the same sounds that make that album so good – especially the synth and digitally manipulated vocals that are deeper down amid the sonic layers. And Vice Versa also works in small details that seem like Easter Eggs for listening closely (in this case there are a few instances of bug noises). What makes “Its Me” different, though, is the extended playing time – it lasts for almost six-and-a-half minutes while his E. Tender tracks average three minutes, but it still manages to be compelling for every second. Listen below.

Similar Posts

  • Pitch Shifted: Winona Hyper’s “Promise”

    この曲は日本のインディペンデント音楽としては決して珍しいものではないでしょう。TaquwamiやSeihoのような素晴らしいアーティスト達を皮切りに、ヴォーカルのサンプルをピッチシフトするプロデューサーは2012年に多く存在し、活躍していましたから。でもWinona Hyperの”Promise”に至っては別件として捉えてほしいです。ヴォーカルのサンプリングを決して多くは使わずに、抜けが良く、かつ曇った音世界を表現しています。この”Promise”で最も特徴的なのは遅められたり速められたりするボーカルサンプルだというのは否定出来ませんが、本当に大事なのはそれ以外で何が起こっているか。Winona Hyperが奏でる美しいシンセはTaquwamiのBlurrywonder EPを彷彿とさせつつも、このグループが足す独特な輝かしさを持つ音が、この曲を愛すべき心地の良い曲にしています。このような作曲法もまだまだ追求すべき点が多いと認識させてくれました。試聴は以下から。